第2回ワークショップは、2021年9月23日(木・祝)に、大阪市立総合生涯学習センターで行った。参加したのは、対面参加とオンライン参加をあわせて19人である。
自己紹介の後、前回ワークショップ以後の教室の取り組みを交流した。「しきじ・にほんごてんのうじ」をあわせて7教室から報告があった。話題として多かったのは、次のようなトピックである。
●コロナの影響がどのように出ているか。
●前回紹介のあった「コロナ奮闘記」を教室でやってみてどうだったか。
●SNSを活用して教室を実施することにどんな長短があるか。
●教室通信発行という報告を聞いて自分の教室でもやってみて良かったことはなにか。
●教室での部落問題学習実施に向けてどんな準備をしているか。
他教室の取り組みや学習者の受け止めを聞くことは、それぞれの教室にとって参考になるようだ。新しい試みがあちこちの教室で始まっていることがわかる。
後半には、「文化庁5点セット」を活用して人権学習を進めるための方法論や教材を考えた。素材として「医療機関で治療を受ける」というシートを取り上げた。このシートを見てどう感じるかを参加者が出し合い、活用の可能性を話し合った。出された観点は次の通りである。
●導入に聴診器をあてて診察している絵があるが、まずもってここに至るまでが大変だ。
●自分も学習者と一緒に病院に行ったことがあるが、妊娠していると聴くこと自体も大変だった。
●地方自治体の通訳は、命に関わる医療場面には行きにくい場合があると聞く。
●この絵は、学習の最初にはふさわしくないのではないか。
●最後に多くの単語を学ぶことになっているけれども、結局これでは詰め込みになる。
●「世の中、こんなもんだから仕方ない」と諦めるのではなく、変えていくと言う発想が大事だ。
●「医療機関で治療を受ける」のイラストで医者が男性なのが気になった。なぜ男性なのか。
●役所の言葉を教えるという発想に立つと知らずに同化を促す側になってしまうんじゃないか。
このようなやりとりから、「同化主義」にならないためには何が必要なのかという議論になっていった。日本社会で暮らすには日本のルールや言葉を知る必要がある。問題は、理不尽なことに出合ったときにきちんと指摘して変えていこうとできるかどうかではないか。教室としても、そういう働きかけをいっしょにできる教室であるかどうかが問われている。
そのほか、「活動3―広報紙を読んでみよう」「住民としての手続きをする」なども検討して、5点セットを組み替えて人権学習に活用する観点として、次のような流れで学習を組み立てるべきことが提案された。
①学習者が自分の経験や気持ちを話しやすくなる活動から始める。
②出てきた体験や気持ちを交流し合う。
③疑問に応え、的確な情報を提供する。
④さらに深めたり、作ったりする活動をする。
⑤つくったものを発表したり、世の中に提案したりする。