【報告】「識字・日本語教室の みんなで学ぶ 人権学習教材」第3回学習会

第3回は10月24日(日)、大阪市立生涯学習センターで開催された。参加者は、会場参加とオンライン参加あわせて19人だった。

  • 第2回のふりかえり

自己紹介などの後、前回(第2回)のワークショップをふりかえった。第2回では、「文化庁5点セット」のなかにある「病院に行く」という資料を使った学習をしてみた。使ってみて、内容を検討した。  「文化庁5点セット」は次のような組み立てになっている。
①「イメージをもってもらう」
⇒②「交流・体験」
⇒③「言葉をたくさん学ぶ」

これでは、学習者の経験や疑問に根ざしにくいし、結局たくさんの言葉を教え込むスタイルになりやすい。そこで、次のような組み立てにしてはどうかという話になった。

①「学習者が体験や経験を出しやすい学習活動をしてあれこれ出してもらう」
⇒②「お互いの経験から確かなことや考えたい疑問をあげていく」
⇒③「学習者の疑問や思い込みを受けとめて、ぴったりの情報を提供する」

こういう組み立てに変えれば学習者の経験から出発して新しいことを学べる。
さらに③までをふまえて、次のように組めば、学習者から出発して社会に発信する学習を組みやすくなる。

⇒④「さらに深めたり、作品を作ったりする活動をする」
⇒⑤「つくったものを発表したり、世の中に提案したりする」

  • 教室の交流

その後、第2回までに学んだことをどのように学級で活かしたりしているかを報告しあった。加島、浅香、日之出、高砂、住吉、堺などの教室が報告した。
「コロナ奮闘記」や「レシピ集づくり」など、他教室を参考に、自分たちもやってみたという教室が出てきている。部落問題学習についても、日之出よみかき教室(木)の実戦も参考に、企画しているという教室があった。次回には、そのようすを聞けそうだ。

  • 学習会における疑問な発言にどう対応するか?

部落問題学習を始め、人権課題について教室などで学ぶと、ほぼ必ず、「引っかかる発言」や「偏見」あるいは「差別的な意見」などが出てくる。そのままにして先に進めば、結局そういう意見が広がってしまいかねない。だから、人権学習を進めるなら、あらかじめどのような発言が出てきやすいのかを共有し、それらに対してどう対応するかを考えておく必要がある。

今回のワークショップでは、いくつかの市民意識調査の自由記述から、「市民の声」を5つとりあげ、そうした意見に対してどう感じるか、どこに問題や課題が潜んでいるのか、どのように対応することが求められるのか、といった点をグループに分かれて考えた。ここでとりあげた5つの意見とは、「寝た子を起こすな」論、被差別者責任論、自己責任論、「逆差別」論、人間本性論などである。

これらの意見の問題がどういう点にあるのかを踏まえつつ、どう対応するのかを整理しようとした。理論的に整理しようとしたグループもあれば、対応の仕方を考えたグループもあり、議論が広がった。教員同士なら意見を交わしやすいが、ボランティア同士だと意見を出しにくく感じる面があるのではないかという発言もあった。

ワークショップでは、これらの意見と合わせて、どこにどのような問題があるかを記した資料も配付された。また、いろいろな疑問を検討する学習の仕方にもいろいろあることが紹介されたあと、「引っかかる発言」に出合ったときには、少なくともすべきことがある。たとえば「○○という発言をしましたね」と記憶に残るよう3回ぐらい言う。ウワサだと思われる発言には「いつどこであったのでしょう。5W1Hを言ってください」など事実を確かめる。こういう対応をしておけば、後につなぐことができる。

  • 今後に向けて

よみかきこうりゅうかいとは別に第5回として12月5日にワークショップを持つことになった。

⇒第5回案内はこちらから

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