【報告】識字・日本語連絡会第32回総会

日時:2025年5月31日(土曜日)午後1時30分から午後4時まで
場所:堺市立人権ふれあいセンター ガイダンスルーム兼視聴覚室

【司会あいさつ】 識字・日本語連絡会事務局長 岡田耕治さん
開催にあたってのお願いが2点ある。1点めは、記録のために録音をさせていただきたい。2点めは記録のための写真撮影。識字・日本語センターのホームページにアップしたり、解放新聞に載せたりする。写ってはいけないという方がいたら教えてほしい。
2023年に識字・日本語学習研究集会の分科会で起こったことについて、ある参加者が聞こえていない状況のままにすすめてしまったことがあった。わたしたちの大きな反省である。いま、マイクを通して話しているが、聞こえにくいことがあれば言っていただきたい。また、いろんな人が聞こえやすいように、ご発言の際はゆっくり、はっきりしゃべっていただきたい。
「ちょっと気になる発言」について、「それどうかな」ということがあれば、「この発言、気になるんですけど」といつでもストップして言っていただきたい。なぜその人はその発言にひっかかったのか、差別だと思ったのか、その場で立ち止まって言っていただくことが、みんなの学びになると考える。お互いに遠慮なく伝え合える総会になればと思うので、よろしくお願いしたい。

【開会あいさつ】 識字・日本語連絡会代表幹事 森 実さん
ようこそお越しくださいました。今年の連絡会は、「人権」と「成人基礎教育」の2つがキーワード。活動方針案の提案にも出てくると思うが、ほかにもあれこれ議論していただけるとうれしい。
今回、堺市立人権ふれあいセンターをお借りしてこの集まりをもっている。昨年度までなら、大阪教育大学が会場だったが、さまざまな事情のため、会場として使えなくなった。そして多方面にお願いしていたところ、センター館長から「いいですよ、うち来てください」とお声がけいただいた。
さらにありがたいことに、総会だけでなく、秋に行う「よみかきこうりゅうかい」もこの会場を使わせていただける。例年、大阪府教育センターで行っているが、今年度は修理のため使えない。どうしたものかと思っていたところ、センター館長が「どうぞ使ってください」と言ってくださった。そうした経緯もあり、秋にも本会場を使わせていただけることを知っておいていただきたい。
この会場は新しい建物で、隣には展示があって、上階に行けばホールなどさまざまな部屋がある。自宅の近所にもこんな隣保館があったらいいのにと思う。時間があればいろいろ見ていただければと思う。
今日は、大阪府、大阪市、堺市からも来賓で3人の方に来ていただいている。ごあいさつもいただける。またわたしたちの議論を深めていきたいと思う。

【来賓あいさつ】
大阪府教育庁市町村教育室 地域教育振興課長 泉谷 成昭様
識字・日本語連絡会第32回総会の開催にあたり、ご挨拶を申しあげます。
皆様におかれましては、日頃より各地域で、識字・日本語学習活動を通じて社会教育の推進にご尽力いただいておりますことに、心から敬意を表します。本日、多くの皆様のご参加のもと、本総会が開催されますことを心よりお慶び申しあげます。
昨年度は、異動1年めということで、複数の識字・日本語教室に伺い、学習者や学習パートナーの方々の学びに対する思いに触れ、たいへん勉強させていただきました。
さて、先日、映画「35年目のラブレター」を鑑賞しました。学校へ通えず、文字の読み書きができないまま大人になった男性が、定年退職を機に夜間中学へ通い、年齢・国籍も異なる同級生たちと学びながら文字を覚え、人生のパートナーである最愛の妻にラブレターを書くという、実話を基にした心あたたまるストーリーに感動しました。さらに、お寿司屋さんで働くもメニューが読めない、聞いた注文が書けない、役所の窓口で書類が書けない、妻からの恋文が読めない、でも最期に遺された手紙は読めた、という経験が描かれており、読み書きができないことが、いかに悔しくてつらいものなのか、読み書きができることが、いかに人生に彩りと誇りを与えてくれるものなのか、改めて思い知らされた次第です。
今年度は、現在開催中の大阪・関西万博において、識字・日本語教室や夜間中学の存在をより多くの方に知ってもらうべく、7月30日、1日限定のパネル展を万博会場内「ギャラリーWEST」にて、開催いたします。
大阪府では、「大阪府識字施策推進指針(改訂版)」「大阪府内における識字・日本語学習活動促進のための課題整理報告書」「大阪府在日外国人施策に関する指針」等を踏まえ、人権尊重の精神に基づき、引き続き、識字・日本語学習の充実に向けた施策を推進してまいります。
最後になりましたが、貴連絡会のますますのご発展と皆様のご活躍を心から祈念いたしまして、ご挨拶といたします。本日は誠におめでとうございます。

大阪市教育委員会事務局生涯学習部 生涯学習担当課長 笹田 愛子様
識字・日本語連絡会第32回総会の開催にあたりまして、ごあいさつを申しあげます。
市内識字・日本語教室では多くの学習者と学習支援者の方々が、「共に学ぶ」場として、生き生きと学習活動を積み重ねてこられています。皆様方のご熱意とたゆまぬご努力に深く敬意を表しますとともに、改めてこれまでの取組にお礼申しあげます。
昨今、大阪市の外国人住民数は急増しており、2025年3月末で195,208人となり、全市民のうち7%を占め、政令指定都市の中で人口、比率ともに全国最多となっており、今後もさらなる増加が予想されます。
識字・日本語施策をめぐる状況では、国において2016年12月に、いわゆる「教育機会確保法(義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律)」が公布、翌年2月に施行され、2019年6月には日本語教育推進法(「日本語教育の推進に関する法律」)が施行されました。最近では2024年6月に公布された「改正入管法」において、技能実習制度に変わり「育成就労制度」が創設されることととなり、今後さらに識字・日本語学習ニーズの高まりが予想されます。
このような情勢の中、2023年12月に、本市として「大阪市識字・日本語教育基本方針」を策定し、昨年12月には、今後の本市の識字・日本語教育施策を展望する「『識字・日本語教育基本方針』シンポジウム」を皆様のご協力のもと、開催いたしました。この基本方針は、「だれもが人間として尊重され、だれもがいきいきと暮らし、だれもが楽しく学ぶ」社会をめざした識字施策推進指針の理念を継承しており、教育委員会と致しましては、この基本方針に基づき、関係機関と連携し、識字・日本語教育環境の充実に向け、取り組んでまいります。とりわけ、地域の識字・日本語教室等におきましては、様々な理由から日本語の読み書き、会話等に不自由している方々と「ともに学ぶ」学習機会を提供していきます。
今後とも、皆様方との連携を深め、更に識字・日本語教育施策の充実に努めていきますので、引き続きご協力の程、よろしくお願いいたします。
最後になりますが、識字・日本語連絡会の益々のご発展をお祈り申しあげまして、ごあいさつといたします。

堺市市民人権局ダイバーシティ推進部 人権推進課長 中村 直樹様
第32回識字・日本語連絡会総会の開催にあたりまして、ご挨拶を申しあげます。
ご参会の皆様におかれましては、平素から基本的人権としての「よみ・かき・ことば」の保障の実現のため、様々な活動にご尽力いただき、心から敬意を表する次第でございます。また、本日の総会が、盛大に開催されますことを心よりお慶び申しあげます。
さて、本会場 堺市人権ふれあいセンターは、貴連絡会のオブザーバーを務めており、識字・日本語教室である「堺識字・多文化共生学級 つどい」を、毎週火曜日と金曜日の昼と夜の4学級で開催しています。令和7年4月時点で外国人住民を含めた51名が、卒業生や地域の方々の熱意に支えられながら、日々学習に励んでおられます。
こうした識字及び日本語学習は、基礎教育保障の根幹として基本的人権に関わるものです。特に今年は「国際識字デー」の制定から60年の節目を迎え、識字の重要性を再認識する意義深い年であります。近年の外国人住民の増加ともあいまって、学習機会の確保、支援者の養成、関係機関との連携など、貴連絡会の果たされている役割がますます高まると考えています。本市におきましても、引き続き皆様との連携を深め、識字・日本語施策の推進に努めますので、ご協力をよろしくお願い申しあげます。
結びに、識字・日本語連絡会のますますのご発展と、ご参会の皆様のご健勝を祈念いたしまして、ご挨拶とさせていただきます。

【会場から】 堺市立人権ふれあいセンター館長 大原和子さん
先ほど堺市課長さんから当センターで実施する4教室の話があったが、お配りしている「おあしす」という資料に当センターが実施している各事業が載っているので、ご覧いただきたい。
当センターは2015年に開館したが、もともとの解放会館という名称であったころから数えると50年になった。大阪市さんの場合は諸事情で隣保館がなくなったが、ありがたいことに堺市では2015年、小規模にはなったが新しい場所に建て替えられ、指定管理者制度を導入いただき、人権協会等諸々の地域団体がJV(共同企業体)を組んで運営することになった。
会場隣の歴史館については、地元の女性が、自分たちが受けてきた苦しい思いを町がきれいになったからといって忘れられるのは困るという思いから、歴史として残していこうという気持ちとともに「歴史資料室」として始めたものを、わたしどものNPOが引き継いで実施している。午後6時30分まで開館しているので、ゆっくりと見ていただきたい。
地元の女性をはじめ、字を奪われてきたことによって、しんどい生活をしてきた、働くことしかできなかったという人たちが、ある程度の年になったときに、やっぱり字を覚えたいという気持ちで立ち上げてきた識字教室。こちらを市で実施いただくようになって、それを当センターで引き継いでいる。いまは識字というよりも日本語が必要な方が増えているが、多様性を認め合って今後も頑張っていきたい。まだ連絡会に参加して2年めだが、今後とも当センターを含めてよろしくお願いしたい。

【議長選出】司会:岡田さん 議長:識字・日本語連絡会副代表幹事 奥本匡伸さん
(岡田さん)これから議事に入るが、総会では特に定足数を求めていないので、本日ご参加のみなさんの承認により議事をすすめていきたい。議長については、ご出席のみなさんから選出することになっている。立候補される方はいらっしゃるか。特にいらっしゃらないようなら、事務局から奥本さんに議長をお願いしたいがよろしいか。(拍手)それでは、奥本さんに議事をすすめていただく。
(奥本さん)議長に選出された。みなさんのご協力で進行を務めたい。よろしくお願いしたい。

【議案提案:第1号2024年度活動報告案】識字・日本語連絡会副代表幹事 熊谷愛さん
(資料1~3ページ 読み上げ)

【議案提案:第2号 2025年度活動方針案】森さん
(資料5~8ページに沿って説明:太字部分のみ読み上げ、他は関連内容を以下のとおり発言)
今年のキーワードは「人権」と「成人基礎教育」の2つ。
[2]活動の柱 ❶2025年度のおもな活動
●大阪識字・日本語協議会での議論充実と提言具体化に向けて取りくむ
協議会には、大阪府・市、堺市から職員が、市民団体から各メンバーが参加。2024年度は協議会の中からプロジェクトチーム(PT)をつくって、PTの提案により課題整理の枠組みを変えていくこととした。PTから提案できたのが昨年度末。今後は協議会全体で大きな枠組みづくりにつなげていく予定。幸いPTから出た意見は我々の思いを受けとめていただいたもの。協議会でもぜひ取り上げて議論をすすめてほしい。

●識字・日本語学習機会の量的拡大と質的充実に向けてはたらきかける
「量的拡大」は識字・日本語教室や夜間中学の増加。夜間中学は大阪市内で2校減1校増。泉佐野市で1校増。結果的に総数の増減はなし。識字・日本語教室は府内に約200存在。これらの数をさらに増やしていけないか。

●人権学習活動づくりを軸に据えた人材養成と啓発をすすめる
各教室で人権学習を進めやすくするために連絡会としてもさまざまな策を講じたい。学習の中心となる人材を育てていくことをめざす。

[2]活動の柱 ❷主要な行事
●識字・日本語連絡会総会
本総会にて2025年度の方針を確立する。
●9月は「識字月間」
9月の識字月間は残念ながら日本政府が決めたわけではない。日本と韓国の識字学習者が2019年に集まって決めた。両国で識字月間を決め積極的に働きかけようとなった。
韓国ではすでに取り組みが始まっている。例えば9月にソウルに旅行すると、町のさまざまなところに識字の作品があったり、集会が開かれていたりする。
日本では7月30日に万博でパネルが展示される以外に、大阪市が9月に中央図書館で展示していたり、東大阪市が9月8日の国際識字デーに集まりをもったりしているが、各自治体で動いていただくにとどまっている。それでもこれらを盛り上げていこうというのが9月の識字月間。本日資料のえんぴつポスターもぜひ活用いただき、各自治体・各教室で「自分たちはこんなことやっています。知ってくださいね」という活動を進めていただきたい。
●第11回識字・日本語学習研究集会
今日はその全体会。来年の1月頃に分科会を開催予定。会場はまだ決まっていないが、開催されることを覚えておいていただきたい。
今日の全体会では、「人権」と「成人基礎教育」の2つについて、それぞれどのような意味があるのか、お話とご提案をいただく。その後、自由に意見交換をしていただきたい。
●だい36かい よみかきこうりゅうかい2025
今年度は残念ながら大阪府教育センターが使用できないので、堺市立人権ふれあいセンターをお借りして、朝から夕方まで実施する方向で準備が進んでいる。
大阪教育大学が識字・日本語学習の取組みを停止したことが繰り返し話題になっている。残念なことであるが、考えようによってはこれをきっかけにさまざまなところとつながることができるかもしれない。今回の総会についても、大阪教育大学が使えなくなったことにより、堺市立人権ふれあいセンターの開催が実現した。総会やよみかきこうりゅうかいと同様、他のところからも施設使用許可の声が聞けることを願っている。
○[2]活動の柱 ❸組織方針
● 9月の「識字月間」で啓発とネットワーク拡大を進める
各自治体・教室、又は連絡会で9月に実施する取組みがあれば、実施場所に出かけたり教室等に連絡をとったりして、「こんなこともしてみませんか」という紹介や助言ができる。
●事業を通して地域連絡会との連携を強める
よみかきこうりゅうかいや研究集会等をきっかけに、さまざまなつながりを広めてきた。
今年度のよみかきこうりゅうかいでは、南河内ブロックの発表に向け準備を進めつつある。各市町における識字・日本語学習のさまざまな取組みを紹介いただくようお願いしている。発表をきっかけに、ブロック内の連携をさらに深めてもらいたいと考えている。
● 連絡会幹事会と各種実行委員会の開催を工夫する
識字・日本語学習に関わる活動場所として大阪教育大学が使えなくなり、別の場所の使用検討が必要。幹事会の開催場所も昨年度までなら大阪教育大学をお借りしていた。今年度は4月に堺市立人権ふれあいセンターで、5月に大阪市立心和中学校で実施した。今後も心和中学校や他場所の使用をお願いしつつ、幹事会、よみかきこうりゅうかい実行委員会などを開催する。施設使用許可のお声がけをいただけるとありがたい。
○【参考】
●国の動きとして、文部科学省の諮問を参考資料として掲載。日本政府は、高齢者や海外からの人が増えてくるなど、さまざまな変化が今表れていることを受け止めて学習機会を充実させる必要がある、地域づくりを進めていく必要があると言っている。こうしたこともきっかけにし、学習機会の増加や充実に結びつけられないだろうかと考えている。

【議案提案:第3号 2025年度役員・幹事・加盟団体の確認】 岡田さん
(資料9・10ページ 読み上げ)

【質疑応答】 議長:奥本さん
全議案の提案が終わったので質疑応答に移りたい。質問があれば挙手をお願いする。
質問がないので採決に移りたい。賛成の方は拍手をお願いする。
(拍手)圧倒的多数で全提案が可決されたことを確認した。
本総会の全議案が終了した。スムーズな進行にご協力いただき感謝。進行を司会にお返しする。

【閉会あいさつ】 司会:岡田さん
総会を閉会する。ご協力ありがとうございました。

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