【報告】第9回識字・日本語学習研究集会

「第9回識字・日本語学習研究集会~よみかきことば・つながるための学習を支援する」が9月23日午後、大阪市内の大阪教育大学天王寺キャンパスでひらかれ、識字・日本語学習者や夜間中学生、識字・日本語ボランティアや教員、行政担当者などスタッフを含め105人が参加した。岡本幾子・大阪教育大学学長による開会あいさつを、吉田憲市・同学学術連系課長が代読したのち、全体会として、「識字・日本語学習における大学の役割」と題するパネルディスカッションを開催。後半は、「学習者の思いを出発点に」「しきじ・にほんご天王寺のこれまでとこれから」「識字・日本語教室における人権学習」「識字・日本語センターの提言の活用に向けて」の4分科会を設定、それぞれのテーマを深めた。主催は、大阪教育大学 地域連携・教育推進センターと識字・日本語学習研究集会実行委員会。
パネルディスカッションでは、大阪教育大学名誉教授の森実さんがコーディネーターを務め、大阪大学特任教授の榎井縁さん、大阪教育大学教授の高橋登さん、大阪教育大学で実施されている「しきじ・にほんご天王寺」運営委員の柴田亨さんと梁榮子さんがパネリストとして報告した。森さんからは、法務省の外国人調査を用いて、半分以上の外国人が差別を経験している。もしもそのような話がでてこない教室ならば、人権にもとづいた識字・日本語教室という観点からあり方を問いなおさなければればならない、そのような問題提起があった。榎井さんは、識字・日本語学習支援での大学の役割を考えるうえで重要な「無意識の同化主義に気づくために」をテーマに報告。政府主導ですすめられる多文化共生が先住民族、旧植民地出身者、非正規滞在者などを対象外としており、そこにある過去の迫害と現在も続く不正義を乗り越えていくための識字・日本語教育には、環境(マジョリティ)の側が変わることが必要だと強調した。高橋さんからは大阪教育大学のプログラムについて、しきじ・にほんご天王寺の二人からは、開講までの経緯や実際の学習のようすなどが語られた。

 

 

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